所長と所員によるブログ『今日も未来をゆく』

賃貸住宅未来研究所所長と所員が未来を求めてさまようコーナー。世の中の求める未来はSF映画にある様な「近未来」か、はたまた自然と共に生きる「共存」か・・・所長や所員が話題の場所に足を運び、感じたことを綴ります。

所員編

第21弾
温故“未来”?!

2016.09.29

未来研究所、所員の中島です。
暑さも落ち着き、だんだんと涼しくなってきました。
もうすっかり秋ですね・・・芸術の秋。
 
ということで、芸術に触れて未来への着想を得られないかと、“古きをたずねて新しきを知る”という思いで、展覧会に行ってきました。
東京オペラシティ・アートギャラリーで開催中の「オランダのモダン・デザイン」展。
建築家のリートフェルトや絵本作家のブルーナの作品などを通じて、オランダ独特のデザイン文化を顧みる展覧会です。
 
会場にはリートフェルトの家具やブルーナの絵本の原画が展示されており、それぞれにオランダの前衛画家モンドリアンに通じる表現を感じられました。
 
リートフェルトといえば「シュローダー邸」や「レッド・ブルー・チェア」が有名ですが、画家モンドリアンらに出会う前からも、独自の感性によって直線的で簡素な造形の家具を作っていたようです。その才能がモンドリアンの理念と出会うことで、新たな建築や家具の造形が花開いたのでしょう。
リートフェルトのビーチワゴン
 
 
ブルーナの作品にもモンドリアンの影響が色濃く見られます。
ブルーナは、ミッフィーの名で親しまれるうさこちゃんが美術館でモンドリアン風の絵画を鑑賞している場面の絵も描いており、ブルーナのモンドリアンへの敬意と憧れが感じられるように思います。
「うさこちゃん びじゅつかんへいく」 (ディック・ブルーナ ぶん/え、まつおかきょうこ やく、福音館書店) にもうさこちゃんがモンドリアン風の絵画を鑑賞する場面が登場します。
 
 
 
輪郭や色彩に対する知覚を極限まで抽象化して直線と三原色の絵画に表現したモンドリアン。
モンドリアンの理念を三次元の造形に翻案して家具や建築をデザインし、人々の日常生活にまで新たな造形理念を導き入れたリートフェルト。
モンドリアンの理念をやわらかい曲線にかたどられた動物たちに翻案して絵本を描き、世界中の子どもたちから愛される空想世界を生み出したブルーナ。
 
天才的な画家の発想によるデザインを、また別の才能が自分なりの解釈を加えて新たなデザインを生み出していく。
一見無機質にも見える造形理念も、その理念に尊敬の念を持つ後進によって受け継がれ、分野を越えて広がっていったのです。
オランダのモダンデザインの承継・発展の流れを見ることができる、よい企画展でした。
ミュージアムショップにリートフェルトの「レッド・ブルー・チェア」の模型キットがあったので、作ってみました。
 
 
・・・実は私、はじめはリートフェルトやブルーナの作品の無機質な(と感じられてしまうような)印象があまり好きではありませんでした。しかし、オランダのモダンデザインの系譜やそれぞれが持つ先人への尊敬の念を知ったことで、少しでも理解したいという気持ちが自分に生じたように思います。そして今ではリートフェルトやブルーナの作品がとても好きです。
 
モンドリアンは晩年ニューヨークに居を構え、抽象画でありながらも世界有数の大都市の喧騒を感じさせるような作品を描き、最後まで新しい表現を模索しました。
リートフェルトはアムステルダムのゴッホ美術館の構想をしている段階で亡くなりましたが、その遺志は別の建築家の手によって形にされ、多くの美術愛好家が訪れています。
ブルーナは2011年に創作活動からの引退を表明しましたが、「うさこちゃん」の絵本は50ヶ国語以上に翻訳され、世界中の子どもたちに愛されています。
 
20世紀初頭に西欧の一地域から生まれた造形理念は、世代を超え、地域を超え、形を変えながら受け継がれ、いまも未来に向けた広がりを人々に感じさせているようです。
“未来”を創るために、たまには“古きをたずねて”みるのもいいものですね。

Page Top